「むかしむかし、魚野川に「あゆたろう」という鮎の妖精が住んでいました。あゆたろうは毎日元気いっぱい遊んでいましたが、ある日の夜明けに見慣れないものを川に見つけました。それが現在のやな場なのですが、あゆたろうはそれがなんだかわかりません。興味深々のあゆたろうがすいーすいーっと近づいたそのとき、ザッパーン！と水がしぶきをあげました。その拍子にピョーイ！とあゆたろうは、やなに打ち上げられてしまいました。
「ぎゃ！これはやばいぞ！」とあゆたろうは大慌てです。
あわや、人間につかまるぞ！そんなとき、近くに住む「鳶のとび男」があゆたろうのことを哀れに思いピーヒョロロと鳴きながらやな場に飛んできて、大きな鍵爪でやさしくあゆたろうを掴んで空へ高く舞い上がり助けてくれました。
慌てているあゆたろうは助けてくれたとび男に気づかず、自分は空高く飛び上がったのだと勘違いをして朝焼けの光を目に焼き付けました。
しばらくしてとび男は、田んぼが近くにある川へとあゆたろうを離してくれました。
稲刈り前の田んぼを見上げると、キラキラと輝く金色の稲穂を飾った「越光子(こしひかりこ)」というお米の妖精が恥ずかしそうに顔をのぞかせました。
あゆたろうは一目見て、一瞬で恋に落ちました。
あゆたろうと越光子から、自然豊かな川口に住む元気な川の妖精「かわぐっち」が生まれたのはしばらく後の話です。いっちょさけもーした」